【総括】Matterデバイスの認証費用、結局いくら必要?
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
今、日本企業の間で、特にスマートホーム分野での活用が期待されている『Matter規格』。以前も無線化講座で取り上げているMatterですが、今回は認証部分に関する解説です。
Matterデバイスに必要な認証とは?
まず始めにMatterのスタック構造からおさらいします。
MatterはIPv6をベースとし、ThreadやWi-Fiなどを使って、小さなセンサーや家電デバイスをつなぎます。一番上のアプリケーションレイヤーをMatter規格によって共通化することで、各メーカーのデバイスが相互接続できる仕組みです。
このような基本スタック構成からなるMatterデバイスを販売するためには、以下のような認証が必要となります。もちろん、構成によっては必要な認証が変わる場合もあるのでご注意ください。
- Matterデバイス用:Matter認証
- 通信プロトコル用:Thread認証 や Wi-Fi認証
- commissioning用:Bluetooth認証
まず『Matterデバイス』として販売するためにはMatter認証が必要です。
さらに、メインの通信プロトコルとしてThreadやWi-Fを使うために、Thread認証やWi-Fi認証も必要になってきます。
また、新しいMatterデバイスを購入してきて、自宅のネットワークに組み込む時の操作をCommissioningと呼びますが、ここにBluetoothを利用しているため、Bluetooth認証も必要になります。
そして忘れてはならないのが、各認証を取得するためにはそれぞれのメンバーシップ会員になる必要があるため、Matterデバイスの販売を目指した場合、それぞれの認証費用の他に、メンバーシップ会員費用もおさえておく必要があります。
認証費用、結局いくら必要?
今回は例として、スマートホームメーカーがMatterデバイスを新たに自社開発し、販売を目指した場合に想定される費用を算出し、以下の表にまとめました。
認証 ※想定会員レベル | 年会費(/年) | 登録費(/件) | 合計 |
---|---|---|---|
Matter認証 ※Adopter会員 | $7,000 USD | $3,000 USD | 130万円 |
Thread認証 ※Contributor会員 | $15,000 USD | $750 USD | 205万円 |
Wi-Fi認証 ※Contributor会員 | $15,000 USD | $5,000 USD | 260万円 |
Bluetooth認証 ※Adopter会員 | – | $9,600 USD | 125万円 |
合計 | 286万円 | 174~229万円 | 460~515万円 |
ご覧の通り、総額に対して年会費が占める割合は大きく、Matterデバイスビジネスを始める際にはランニングコストも十分留意しておかなければいけないことがわかります。
なお、単純に『既に認証済みの製品を再販目的』で販売するケースの場合は、メンバーシップレベル等が変わる可能性がありますので注意が必要です。また、それぞれの認証関連費用は適宜アップデートされます。2023年4月時点の情報として参考にしていただき、実際に取得の際は再度ご確認をお願いいたします。
では、このようなMatterの認証について相談したい場合、どうすればよいのでしょうか?
認証機関・相談先の一例
Matterデバイスに関する認証の相談先として下記は認証機関の一例です。
ここで挙げた3社はBluetooth認証の専門試験機関(BQTF)でもあるため、トータルサポートが期待できます。