【連載企画】センサ搭載BLEビーコンと受信アプリの作り方【第1回】
こんにちは、ムセンコネクトCMOの清水です。(プロフィール紹介はこちら)
ムセンコネクトは新しい連載企画「センサ搭載BLEビーコンと受信アプリの作り方」をスタートします。
第1回目の今回は企画概要についてお話します。
企画概要・デモ動画
今回スタートさせる連載企画では、
「各種センサの値をBLEビーコンのアドバタイズとして発信し、Windowsアプリでセンサ値を取得すること」
を目指します。
- センサデータをBLE通信で送受信したい
- センサ搭載BLEビーコンの作り方が知りたい(ハードウェア)
- センサ値をBLEのアドバタイズパケットとして発信する方法が知りたい(ソフトウェア)
- iBeaconフォーマットでは実現できない自由な形式でアドバタイズしたい
- BLE APIを用いたWindowsアプリでのBLEアドバタイズパケットの受信方法が知りたい
デモ動画
本企画の背景
ムセンコネクト(およびグループ会社の株式会社イーアールアイ)では、お客様から「センサ値をBLEアドバタイズ(ビーコン形式)として取得したい」というご相談やお仕事のご依頼が増えています。
なぜビーコン形式を採用したいのか?その理由は以下のとおりです。
- ビーコン形式であればアドバタイズパケットとしてデータ取得できるようになるため、1対N(1台の受信機に対して複数台のセンサデバイス)でのデータ取得が容易になる。
- 1対1でのBLE接続が不要になり、BLE接続後のデータ通信を省けるため、センサデバイス側の消費電力を抑え、バッテリーの長寿命化が期待できる。
「BLEビーコン」といえば、AppleのiBeaconやGoogleのEddystoneなどの代表的なビーコンフォーマットがありますが、技術的な制約から自由な形式でアドバタイズを発信することができず、案件の要件に適さないこともしばしばあります。
自社で16bit UUIDやCompany IDを取得すれば自由なビーコンフォーマットで通信することも可能ですが、3,000ドル(24年1月からは3,450ドル)要する16bit UUIDの取得費用や面倒な取得手続きを考えると、
「手軽にビーコン通信を試してみたい」
「軽く動きを確認してみたい」
程度の初期段階において、気軽に試せるとは言い難いのが実情です。
このような事情があるため、お仕事のご依頼をいただいた際にも、最終的にはお客様ご自身でUUIDを取得していただく前提で、試作段階では一時的にムセンコネクトのUUIDを貸与するケースがありました。
ムセンコネクトが16bit UUIDと独自ビーコンフォーマットを公開します
このような問題を解消するため、ムセンコネクトが取得した16bit UUIDを無料開放いたします。
ムセンコネクトがUUIDを正式に開放することで、どのメーカーでも自由にムセンコネクトのUUIDを利用できるようになり、BLEアドバタイズによるデータ送受信を気軽に試せるようになります。
また、ムセンコネクトが規定したビーコンフォーマット「オープンセンササービス」を公開いたします。ムセンコネクトがスタンダードなビーコンフォーマットを用意することで、案件ごとに都度ビーコンフォーマットを策定する必要がなくなり、結果、開発コストを抑えて手軽にビーコン通信を試せるようになります。
なぜ受信するのはWindowsアプリなのか?
実際にお仕事をご依頼いただいているお客様の「業務用アプリケーション」においては、スマホよりもWindowsパソコンでデータ取得できた方が何かと便利というご意見が多く、まずはWindowsでの取得方法を解説することにいたしました。
もし本企画や公開したWindowsアプリに反響があれば、今後iOS版やAndroid版受信アプリの開発・公開も検討したいと思います。
企画の目次
- BLEによるセンサデータ送信の仕組みとビーコンフォーマット「オープンセンササービス」の仕様解説
- センサ搭載BLEビーコンの作り方(ハードウェア編)
- センサ値をBLEビーコンのアドバタイズパケットとして発信する方法(ソフトウェア編)
- Bluetooth APIを用いたWindowsアプリでのBLEアドバタイズパケットの受信方法
- デモ動画
ダウンロード・権利
ダウンロード
- ビーコンフォーマット「オープンセンササービス」に関するドキュメント
- BLEビーコン(BLEモジュール)ソースコード
- Windowsデータ受信アプリ・ソースコード
権利
アプリやソースコードに関する権利、著作権等はムセンコネクトに帰属しますが、ムセンコネクトの許可なく自由にご利用いただけます。本企画に関するご質問、ご相談はムセンコネクトへお問い合わせください。
ムセンコネクトの取り組み
最後に、ムセンコネクトは本企画を通じて下記のように取り組んでまいります。
- BLEビーコンを気軽に試せる環境を提供し、BLEビーコンの普及に貢献したい。
- 手軽に使えるBLEビーコンフォーマットとして、ムセンコネクトの「オープンセンササービス」も多くのメーカー様に使っていただきたい。
- ゆくゆくは同ビーコンフォーマットのセンサビーコン(ハードウェア)も開発したい。
- 本企画を通じて、ムセンコネクトの存在を知ってもらいたい。
本企画がメーカーエンジニアのみなさんの一助になれば幸いです。
次回はBLEによるセンサデータ送信の仕組みや、ムセンコネクトが規定するビーコンフォーマット「オープンセンササービス」について解説します。