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【超入門】Bluetooth機器メーカーのための『CEマーキング講座』

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

無線通信機器を欧州市場に輸出したい国内メーカー向けに、『CEマーキング』について解説した動画です。

Bluetooth機器を海外展開したい国内メーカー様からCEマーキングに関するご相談が増えていますが、日本の電波法と比べて仕組みが複雑であるため、なかなか理解が進まない方が少なくないようです。そこで今回は、CEマーキングの概要、および自社でCEマーキングを取得する際のアドバイスについて解説していきます。

目次

CEマーキングとは?

CEマーキングとは、欧州地域にBluetooth機器を輸出する際に必要になるルールのことです。CEマーキングのロゴマークが表示されている製品は『該当地域における法規と技術基準の最低限の安全を満たした製品』という証になっています。

CEマーキングの概要について

欧州連合ができた当時、法律と技術基準の相違が各国間の市場流通に障壁をもたらしていました。そこで、欧州連合としての単一市場を実現するため、統一法規と技術基準の見直しが行われ、『法規と技術基準の最低限の安全を満たした製品』のみ流通を可能とする CEマーキング制度が法的基盤上で整備されました。

これにより、各加盟国間での貿易障壁がなくなり、「人」「物」「サービス」「お金」の自由な行き来が可能となりました。

CEマーキングの対象範囲

現在、関税同盟協定等により、合計36カ国がCEマーキングの対象となっています。

  • 欧州連合(EU)27か国
  • 欧州自由貿易連合国(EFTA)4か国
  • EU加盟候補国5か国

このような範囲の広さから考えても、欧州市場にBluetooth製品を展開したい国内メーカーにとってCEマーキングへの対応は避けては通れないものであることがご理解いただけると思います。

指令/規則と規格とは?

この指令・規則・規格の部分は少し難解ですので詳細までご理解いただかなくても問題ありません。CEマーキングにはこのような仕組みがあるということだけご理解いただければ良いと思います。

欧州市場に製品を流通させる場合、大項目(統一法規)として指令と規則への適合が要求されます。これにより、一定の安全水準が満たされた製品の証として、製品上にCEマークを貼付することができます。

さらに、メーカー側は指令や規則の制度と合わせて、小項目(具体的な要件)の技術的基準を満たすため、規格という製品の設計と適合性評価を行います。

CE マーキングの表示を要する主な指令としては、機械指令(機械類の安全性)、EMC指令(電磁妨害波)、低電圧指令(電化製品の安全性)、RED指令(無線機器)、RoHS指令(有害物質)など挙げられ、多くの製品に適用されていますが、それ以外にもさまざまな指令と規則が制定されています。中には、CE マーキングの表示を必要としない指令と規則も制定されており、製品に応じてその選択の吟味が必要になります。

指令/規格と規則との関係

大項目の法規として指令/規格が存在し、小項目の具体的要件(技術基準)として規格が存在します。小項目である規格は沢山の種類があり、その中から該当製品に必要な規格を定める必要があります。

  • 例)大項目(RED指令)+小項目(EN 300 328)
  • 例)大項目(EMC指令)+小項目(EN55032)

よって、Bluetooth機器メーカーがまず初めに行わなければならないことは『製品の用途や構造、対象とする使用者や使われる場所を考慮した上で製品に該当する指令の選択を行う』ことです。なぜなら、ひとつの製品に対して複数の規則や指令が適用される場合もあるからです。具体例として今回は『Bluetooth搭載スマート温度計』を取り上げます。

例えばBtoC向け(家電量販店等で販売されている)の場合、その使用主の危険源が電気によるものであれば、製品安全として低電圧指令の適用が予想されます。(ただし、無線機器(RED)指令にLVD指令は包含)

その場合に必要な指令/規則は次の通りです。

  • RED指令
  • RoHS指令

一方、BtoB向け(会社や工場の一室で使われる)の場合、構造的に電気の危険源に加えて機械的損傷の危険源も共存していることから、低電圧指令ではなく機械安全として機械指令の適用が予想されます。

その場合に必要な指令/規則は次の通りです。

  • MD指令
  • EMC指令

つまり、同じ製品でも製品の用途や構造、対象とする使用者や使われる場所によって該当する指令や規則は変化し、ひとつの製品に対して複数の規則や指令が適用される場合もあります。ここがCEマーキングで重要なポイントです。

なぜCEマーキングは日本人にとって難しい!?

難しい理由その①『自己宣言』という仕組み

CEマーキングには、メーカーに託された責務として『自主的対応の上での製造物責任を満たす代わりに、関税障壁をなくす』という独自の考え方があります。つまり、何を満たせばよいかは自分で調べ、その基準を満たし、自分達はCEマーキングを掲示できる状態である、と自主的な対応が求められる制度です(自己宣言制度)。このメーカーによって求められる行動が不明瞭な点がハードルの高さを上げています。

難しい理由その②従順な国民性と認証機関とのジレンマ

日本では、電波法のように「あなたはこれが必要だよ」とお役所的な行動を求められることが多いため、自主的行動を要求されるCEマーキングの自己宣言というルールに戸惑われる方もいらっしゃるようです。

さらに、自主的行動に移そうにも日本では馴染みないCEマーキングのルールは難解で理解しづらく、その道のプロフェッショナルである認証機関にアドバイスを求めようにも、公平性の担保やCEマーキングの『自己宣言』という性質上、認証機関は「お客様が指令・規格を選んでください」というスタンスです。この「どこに相談してよいのかもわからない」感じが日本でCEマーキングを取得する難しさに拍車をかけています。

難しい理由その③CEマーキングは電波法ではない

CEマーキングは電波法ではありません。日本でいう技適のような電波法が定められているわけではなく、CEマーキングという仕組みの中で「無線通信」に関するルール(RED指令)が定められています。

このため、技適のように「無線モジュールが電波法を取っていれば省略できる」ということにはならず、最終製品としてCEマーキングに適合させる必要があります。それは同時に「無線通信以外のルール(各指令/規則)」にも適合させる必要があるということでもあり、大変さを増しています。

知らなきゃ損!?CEマーキング取得のポイント

ポイント①メーカー責務を守らない(違反した)場合

CEマーキングの不正表示利用、製品構造上の明らかな欠陥、適合宣言書等の書類不備など、規則や指令に適さない事実が発覚した場合には違反行為として処罰の対象となり、違反行為の内容に応じて製品構造の改良指導、市場への出荷制限、販売の停止、市場からの撤収が言い渡されるほか、拘留処置や反則金等も処罰として設定されています。自己宣言制度という自主的なルールとはいえ、違反した場合の処罰も設定されているため、しっかりと対応しなければなりません。

ポイント②困ったときの駆け込み寺

CEマーキングは自主的対応が求められる一方で、知識・ノウハウがないメーカーにとっては「何から手をつければ良いかわからない」「どこに相談して良いのかもわからない」というのが実情ですが、日本には海外展開を進める上でアドバイスできる専門機関が存在します。下記にご紹介する相談先はCEマーキングだけでなく、「海外展開」全般をサポートしてくれる頼れる存在です。ぜひ一度ご相談いただくことをおすすめします。

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