認証取得困難な状況をモジュール再選定で打破、株式会社初田製作所様の受託開発およびBluetooth認証登録代行サービス導入事例
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。
今回はムセンコネクトに受託開発およびBluetooth認証登録代行サービスをご依頼いただいた株式会社初田製作所様の導入事例インタビューをお届けしたいと思います。
Bluetooth搭載の新製品『テストセンセイAR』をご担当されている株式会社初田製作所 室長の佐藤 淳也氏、支店長の有光 幸崇氏に、自社製品のBluetooth化に至った経緯と、実際にご利用いただいたムセンコネクトの『受託開発』『Bluetooth認証登録代行サービス』に対するご感想を伺いました。
*写真左から株式会社初田製作所 支店長有光氏、室長佐藤氏
株式会社初田製作所とは?
株式会社初田製作所は、1902年に初田利兵衛が京都市に二重瓶消火器株式会社を創立し、本年で123年目を迎えます。祖業の消火器から現在は消防用設備等全般の開発・製造・販売や半導体製造装置用自動消火装置など、初期消火や火災予防に関する事業を幅広く手掛けるようになりました。また、2023年には株式会社横井製作所を吸収合併するなど、今後は統合後のシナジー効果の最大化を図ってまいります。
https://hatsuta.co.jp/
『テストセンセイAR』とは?
-- 『テストセンセイAR』の商品説明と開発の経緯について教えてください。
有光氏:
『テストセンセイAR』はAR(拡張現実)技術を利用した消火訓練用の機器です。ヘッドマウントディスプレイを通じて、例えば実際の仕事場に火災が発生しているような映像を映し出し、消火器型コントローラーを操作することでリアルな現場での消火器操作訓練を可能にします。Bluetoothは消火器型コントローラーとヘッドマウントディスプレイ間の無線通信に利用しています。
『テストセンセイAR』を開発するに至った経緯については順を追ってご説明します。初代の『テストセンセイ』は、『テストセンセイAR』を共同開発した大槻ポンプ工業株式会社が開発・販売をしていた商品で、パネル上の火災画面に向かって、水を充填した訓練用消火器を放射して消火器使用法訓練を行い、消火の成功または失敗を判定するというものでした。
その後弊社が共同開発として参加したのが2019年に発売した『テストセンセイVR』です。2代目となる『テストセンセイVR』はPC一体型のヘッドマウントディスプレー内にVR(仮想現実)技術を用いてバーチャルな火災現場を映し出し、その映像を見ながら消火訓練が体験できるという商品でしたが、バーチャル映像(コンテンツ)を制作するのにコストがかかったり、それゆえ消火体験できるコンテンツ数に限りがあるなどの課題もありました。
そのような状況の中、転機が訪れたのは2023年です。吸収合併した株式会社横井製作所が取り組んでいたAR技術を用いたり、大学との共同研究などを通じて、VR版での技術課題を解決できそうな手応えを掴み始めました。お客様が訓練したいシチュエーションをバーチャル空間で再現するには莫大なコストがかかるのですが、ARを活用することで現実の仕事場などに仮想の消火体験空間を低コストで生成できる目処がたちました。こうして開発したのが『テストセンセイAR』です。現在は2024年秋からの販売を予定しております。
佐藤氏:
わたしたちが新たな技術に挑み続けているのには理由があります。昔は屋外で模擬的な火災(火)を起こし、消火器を使って消火訓練を行うことができたのですが、環境的配慮や火を起こすための許可申請などの煩雑さにより、現在は従来式の消火訓練がほぼできなくなってしまいました。しかし訓練はしなければいけないという防災業界としての課題もあります。
最初の取り組みからは長い年月がかかりましたが、防災業界として新しい技術に挑んでいかなければいけないという使命感と、技術課題を解決できるアプローチを獲得したことによって実現したのが今回の『テストセンセイAR』です。
製品化に向けて顕在化した課題、ムセンコネクトの担った役割とは?
-- ムセンコネクトにご相談いただいた経緯や、実際に依頼してみて受けた印象や感想について教えてください。
佐藤氏:
Bluetooth機器を製造・販売するメーカーとして製品化を目指していった中で、途中でBluetooth認証が必要だということが判明しました。初田製作所としてもBluetoothを使った製品自体が初めてであり、素人同然の状態でしたので、いくつかの方面から調べることになりました。何社かの認証機関に問い合わせてみましたが、当初開発していたBluetooth機器の仕様ではそもそもBluetooth認証の取得自体が難しいことがわかりました。「Bluetooth機器を作り直さなければBluetooth認証が取得できない」という難しい局面の中、偶然ネット検索で見つけて相談してみたのがムセンコネクトさんでした。
初回の打ち合わせではムセンコネクトの本社に伺いましたが、新橋駅からすぐそばにあって「飲み屋の中にオフィスがあるな」といった印象をもちました(笑)。実際にお話を進めていくと「色々と詳しいな」と感じる部分がありまして、「これは助かったな」という気持ちになりました。そして実際に業務を発注させていただくことになりました。
結果的に消火器側のBluetooth制御部の開発と制御デバイスの製造、そしてBluetooth認証の取得を依頼させていただきましたが、迅速に業務を遂行したり、未だに誠実に対応してもらっているという印象は一貫して変わっていません。今回これだけの関係性を築きながらモノづくりができたので、今後は積極的に自社製品に無線技術を取り入れていきたいと考えています。
有光氏:
個人的な感想ですが、はじめてのお取引にも関わらず、我々が不得意だったり、わからない部分に対して、特にムセンコネクトの三浦さんはレスポンスよく教えてくれたりご対応くださるので、安心感や対応力の凄さを感じました。Bluetoothの案件があれば、他社やパートナー会社にも心配なくご紹介できると思います。
当初の製品仕様ではオープンソースのソフトウェアスタックを活用していたため、Bluetooth認証の取得は非常にハードルが高いと予想されました。ムセンコネクトが認証テストの負担を軽減できるようなBluetoothモジュールの採用をアドバイスし、それに伴いBluetooth制御部のハードウェア設計やファームウェア開発などをお手伝いすることになりました。
企業理念『人命・財産・文化を火災から守る』とのつながり
-- 最後に貴社の事業、製品について今後の展望を教えてください。
有光氏:
ちょうど最近調べていた情報なのですが、火災やボヤが起きた時に建屋にある消火器の使用率は20%程度しかなく、残り80%はどうしてよいかわからず逃げるなどの手段を取るそうです。一方で、初期消火段階で消火器を適切に使用すれば消火成功率が70%以上に高まるというデータもあります。
先ほどもお話したように、昨今はなかなか消火訓練を行いづらい状況ということもありますので、消火器が身近に使える環境を整え、そして訓練ができる仕組みを整えることに素晴らしい価値があると感じています。今回の『テストセンセイAR』がそのきっかけになれば嬉しいです。それこそが「人命・財産・文化を火災から守る」という弊社の企業理念につながると信じています。
インタビューを終えて
今回も初めてのBluetooth機器開発となった初田製作所様にインタビューさせていただきました。当初の製品仕様ではBluetooth認証が取得できないとわかり、そこからムセンコネクトが開発と認証取得をお手伝いさせていただくことになりましたが、大変満足いただけたのはもちろんのこと、今後も一緒にお仕事をしていきたいと仰っていただいたことが何よりも嬉しいお言葉でした。
消火器は学校や職場など身近な場所に置かれているものではありますが、私を含め、実際には使用したことがないという方も多いのではないでしょうか。だからこそ、消火器や消火訓練を身近なものにする本製品には大きな期待を抱かずにはいられません。このような社会的意義のある製品づくりに携われたことを非常に嬉しく思います。
ムセンコネクトでは今後もBluetoothモジュールや無線化サービスを通じて、メーカー様と一緒に社会貢献に努めてまいります。