ユーザー要望に応えるため一度は頓挫した無線化に再チャレンジ、日本電磁測器株式会社様のBluetoothモジュール導入事例
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。
今回はLINBLE-Z1とBluetooth認証登録代行サービスをご採用いただいた日本電磁測器株式会社様の導入事例インタビューをお届けしたいと思います。
Bluetooth機能を有する磁気測定器テスラメータ『GV-400B』の製品化をご担当された日本電磁測器株式会社 開発課グループリーダーの齊藤 順次氏、開発主担当の永田 太祐氏に、LINBLE-Z1導入までの経緯や本製品の開発秘話を伺いました。
*写真左から日本電磁測器株式会社 生産部部長秋山氏、開発課グループリーダー齊藤氏、永田氏
日本電磁測器株式会社とは?
日本電磁測器株式会社は、昭和28年に日本初の磁気製品応用技術の専門メーカーとして発足して以来、業界のパイオニ アとして、常に最新技術の開発に力を注いでまいりました。
磁気応用技術は、あらゆる産業分野で重要な役割を担っています。ほとんどがカスタムメイドの製品である当社においては、社員一人ひとりが高度なスキルを持ち合わせており、商品だけではなく、磁気応用技術を中心に様々なご提案ができると考えております。製品に関するノウハウや知識についても、営業・技術社員全員が共有し、お客様のご要望に確実にお応えできる体制で臨んでおります。
また、今まで培ってまいりました磁気応用技術を中心に、磁石分野においては、着磁から成形・測定・検査まで。非破壊検査分野においては、磁粉探傷をはじめ、浸透探傷、超音波探傷、渦流探傷など、専門分野に特化したトータルソリュー ション企業としての取り組みを進めております。
https://www.j-ndk.co.jp
LINBLE-Z1を搭載した磁気測定器テスラメータ『GV-400B』とは?
-- Bluetooth化を実現した貴社製品について教えてください。
齊藤氏:
弊社の磁気応用技術を用いると、着磁器(磁気を帯びていない磁石に磁気を入れる器械)や脱磁装置(磁気を帯びている磁石から磁気を取り除く装置)のように磁気をコントロールすることが可能です。そのため、器械や装置でコントロールした磁気に対して「着磁された磁石がちゃんと磁石になっているのか?」「磁力を抜くための脱磁がしっかりと完了しているのか?」を定量的に測る必要があります。その磁気を測るための器械が磁気測定器になります。
最近だとEVの自動車モータ向けに着磁設備が導入されるなど、自動車産業を支える技術として活躍しています。また、鉄を素材としたモノ(製品)を作り出す製造業には幅広く脱磁装置が導入されており、磁気測定器はどちらの分野でも利用されています。
弊社は着磁器/脱磁装置/磁気測定器全てを手掛けておりますが、磁気測定器については競合他社も多いため、常に自社製品であるテスラメータの差別化を図り、競争力を上げていかなければならないと考えておりました。そこで2018年頃に業界初の試みとして、Bluetoothを搭載した新しい磁気測定器の開発を着想しました。
当時は別メーカーのBluetoothモジュールを入手して検討を開始しましたが、技適認証やBluetooth認証が未取得だったため、自社での費用や工数負担が大きく、一度は頓挫してしまいました。ですが、磁気測定器をご利用中のお客様からBluetooth化を望む声を多数いただいたこともあり、3年後の2021年から再度挑戦することになりました。
LINBLE-Z1採用の経緯、使ってみた感想は?
永田氏:
元々ムセンコネクトさんのBluetoothモジュールも候補の一つではあったのですが、実は偶然、齊藤が別案件にてムセンコネクトさんのLINBLE-Z1の評価を進めており、社内の設計ノウハウが活用できる状況にありました。さらにムセンコネクトさんはBluetooth認証を取得する際のサービスも充実していることから、前回我々が不得意だったが故に頓挫した部分もうまくカバーできるのではないかと考え、LINBLE-Z1の採用を本格的に検討し始めました。
評価を始めてみて思った感想としては、Bluetooth通信部分についてはトラブった記憶も苦労した記憶さえも全くありません(笑)。
どのように使用するのかといった部分では、一番はじめにムセンコネクトさんとオンラインで打ち合わせをさせていただき、様々なレクチャーやアドバイスをしていただきました。ある程度クリアになった後はユーザーマニュアルを片手に、開発はほぼ自走することができました。おそらく多少のシリアル通信の知識があるエンジニアであれば難なく扱えると思います。
-- 他社にLINBLEを紹介するとして、もしおすすめポイントがあれば教えてください。
齊藤氏:
「カンタンですよ」って伝えますね(笑)。
特殊な知識をあまり必要とせず、ソフトを少しかじっているようなエンジニアの方や、回路図を少し書けるようなハードウェアエンジニアの方であれば十分扱えるというのがおススメできるポイントだと思います。
永田氏:
私はソフト寄りのエンジニアですが、先ほどもお伝えしたようにシリアル通信の知識があるような方であれば難なく扱えると思います。
--Bluetooth認証ではムセンコネクトのBluetooth認証登録代行サービスもご利用いただきました。サービスをご利用いただいたご感想を教えてください。
永田氏:
まず最初にBluetooth SIGメンバー登録やBluetooth認証を取得するための必要項目を提出して以降、我々は全くノータッチで手続きを最後まで完結してくれました。それくらい我々は何もしていないという認識です。費用面についても、為替の変動要素はあるものの最初にご提示いただいた総額から変動がなかったため、非常に『サービスとして完成されている』と感じました。こういったサービスを利用できるということも、他社さんへ安心しておすすめできる点ではないでしょうか。
--その他、ムセンコネクトに期待していることがあれば教えてください。
齊藤氏:
ムセンコネクトのBluetoothモジュールがBluetoothのバージョンアップにどれだけ追従できるのか?が気になります。頻繁にLINBLEの新機種が発売されることを望んではいませんが、旧モデルとピンコンパチのLINBLEが継続して供給されることを期待しています。ムセンコネクトさんのWEBサイトを拝見しても、期待通りの製品展開をされていると思っているので、今後もそのスタンスを継続してほしいです。
お客様のご要望に適した製品を提案し続けるために
-- 最後に貴社の事業、製品について今後の展望を教えてください。
齊藤氏:
私は技術寄りの人間ではあるものの、人とお話をすることが好きです。
普段から積極的にお客様や大学の研究者の方々と会話をし、そこから様々なアイデアを得るように心がけています。それは弊社の製品がほとんどカスタムメイドの製品であるため、お客様からのご相談に対して、常に多くの引き出しをもった状態でご提案ができるようになりたいと思っているからです。その姿勢はこれからも大事にしていきたいと思っています。
Bluetooth化のポイント
- 認証未取得のBluetoothモジュールを使った「はじめてのBluetooth化」は認証取得が大きなハードルとなってしまい頓挫。
- 「認証済みBluetoothモジュールの採用」と「Bluetooth認証登録代行サービスの活用」で認証取得をクリア。
インタビューを終えて
日本電磁測器様の採用事例は、(ZEALシリーズ※からの移行ではない)新規LINBLEユーザーとしては初のユーザーインタビューとなりました。
※LINBLEの前身となったエイディシーテクノロジー社のBluetoothモジュールシリーズ
記事では触れませんでしたが、磁気応用技術以外にも超音波技術を利用した製品を展開しており、会社として常に新しいことへ取り組む貪欲な姿勢を感じ取りました。その姿勢が業界として画期的な新製品へとつながったのだと思います。磁気という専門分野に特化し続けながらもあらゆる産業分野で重要な役割を担うメーカー様に関われたことは非常に嬉しいことであり、大変誇らしいことだと実感しました。
ムセンコネクトでは今後もBluetoothモジュールや無線化サービスを通じて、メーカー様と一緒に産業を支えてまいります。