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【サルでもわかるBLE入門】(10) BLE SoCとBLEモジュール

サルでもわかるBLE入門

こんにちは。ムセンコネクト三浦です。

今回も「サルでもわかるBLE入門」と銘打ってお話していこうと思います。BLE初心者の方でも理解をしてもらえるように、できるだけわかりやすく解説していきます。

第10回目は『BLE SoCとBLEモジュール』についてのお話です。

一応注意事項です

わかりやすく解説する為に、BLE初心者にはあまり必要ない例外的な内容は省略して説明するようにしています。
また、あえてアバウトに書いている部分もありますのでご承知おきください。
(厳密な技術的内容を知りたいような方は別の解説書を参考にしてください。)

目次

BLEデバイスの分類

BLEを利用する製品は大きく分類すると「スマートデバイス」と「組み込みデバイス」の2つがあります。

スマートフォンやタブレット、パソコンなどの高性能デバイスはスマートデバイスと呼ばれ、高機能なハードウェア(CPU、メモリ、ストレージなど)と、高機能なOS(Windows、Linux、iOS、Androidなど)を持った構成になっています。

最近ではほとんどの場合においてWi-Fi、Bluetooth Classic、Bluetooth Low Energyといった3つの通信プロトコルに対応したコンボチップが採用されており、Bluetoothのプロトコルスタックは各OSに包括されています。

組み込みデバイスはキーボード、マウス、センサーデバイス、IoTデバイスなどが該当します。スマートデバイスと比べてコスト要件が厳しいこともあり、限られたハードウェアで動作する構成になっています。

マイコン機能とBLE通信機能を持つ必要があるため多くの場合BLE SoCを利用した構成になっており、Bluetoothのスタックは各BLE SoCメーカーが提供している場合や、組み込み用のOSの中に組み込まれている場合があります。

ちなみにスマートデバイスはセントラル(親機)になることが多く、組み込みデバイスはペリフェラル(子機)になることが多いです。

今回は、「BLE SoC」と「組み込みデバイスのハードウェア構成」を中心に話を進めます。

BLE SoCとは?

SoCとは?

SoCはSystem On Chipの略で「エス・オー・シー」または「ソック」と呼ばれます。

SoCは1つの半導体チップの中に様々な機能を詰め込んだものです。
例えば、CPU、RAM、不揮発メモリ、リセットIC、ウォッチドッグタイマ、DSP、無線通信機能などの機能です。

ひと昔前は機能ごとに別々の半導体チップ部品になっていて、基板上でそれらを配線でつなげてコントロールしていました。

それから、ワンチップマイコンが登場し、RAMや不揮発メモリ、クロック、リセットICなどがワンチップ化し、かなり部品点数を減らすことができるようになりました。

SoCはワンチップマイコンが更に進化した姿と言えます。
無線通信ICなど、更に多くの機能をワンチップの中に含めたものをSoCと呼びます。

BLE SoCとは?

BLE通信用のICを含んだSoCのことをBLE SoCと呼びます。
(Bluetoothの業界用語のようなものです。)

「BLE通信機能付きマイコン」と呼んだほうがわかりやすいかもしれません。

「BLE通信の機能がメインで、マイコンの機能はおまけでしょ」と思う方もいるかも知れませんが、そうではありません。最近のBLE SoCはマイコンとしても高い性能を持っています。
マイコン機能だけを比較しても、無線通信機能を持たない一般的なマイコンに見劣りしないものになっています。

もしも、今まで無線通信機能を持たないマイコンからBLE SoCに置き換えたとしたら、製品に対してBLE通信機能を追加することができて付加価値UPが見込めます。

組み込みBLEデバイスのハードウェア構成とは?代表例を3つ紹介

いくつかのハードウェア構成を比較して見ていきましょう。

温度をセンシングするデバイスを例にします。ベースとなるのは温度センサとマイコンをつなげただけの構成です。ここには記載していませんが、温度センシングした情報を外部に出力する為の方法が別途必要になります。

①BLE SoCを利用した構成

BLE SoCを利用した構成です。
BLE SoCは見た目は1チップになっていて、一見すると通常のマイコンと区別が付きません。まさに「BLE機能付きマイコン」です。
基板に実装する部品が減るので製品のサイズも小さくすることができ、トータルコストも削減できますが、アンテナの設計が必要になります。

②BLEモジュールを利用した構成

BLEモジュールを利用した構成です。
アンテナの設計は専門性が高く、電波認証を取得する必要があるなど、難易度が高く面倒なものです。
BLE SoCとアンテナを一体化したBLEモジュールという部品があります。最初にBLE SoCを利用した製品を作る場合は、この構成を選ぶのが良いでしょう。

③ファームウェア内蔵のBLEモジュールを利用した構成

ファームウェア内蔵のBLEモジュールを利用した構成です。
既存のシステムが出来上がっていてマイコンを変更したくない場合も多いと思います。
そのような場合はコンプリートBLEモジュール(ファームウェアが内蔵されたBLEモジュール)を追加することで、既存のシステムに簡単にBLE機能を追加することができます。
ホストマイコンからコンプリートBLEモジュールに対してUART通信でコマンドを送受信して、BLE通信を実現します。


このように、BLE通信を実現する為のハードウェア構成にはいくつかのパターンがあります。
それぞれのパターンで開発に必要な技術力が異なる為、自社にあったハードウェア構成を選択するのが良いでしょう。

次回もBLEの技術要素について深堀りしてお話したいと思います。

無線化講座のサルでもわかるシリーズはこちら

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