【日本語解説】Bluetooth認証、私は必要?Bluetooth SIGの公式見解について
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
「Bluetooth SIGが明示しているBluetooth認証に関する公式見解」をテーマにした動画です。
Bluetooth SIGのHPに記載している内容が専門的すぎて、「私は該当するのかどうかも分からない」といったBluetooth認証(SIG認証とも呼ばれる)に関するお問合せを多々頂きます。そこで『Bluetooth SIGが明示しているBluetooth認証に関する公式見解』について日本語、かつ、分かりやすい表現を交え解説します。
SIGの公式見解はどこにある?
Bluetooth SIGが出している公式見解は、Bluetooth SIGの公式WEBサイトにあります。
しかしながら、公式WEBサイトの言語は元々英語で構成されており、日本語サイトはそれを日本語に直訳した表現になっています。また、専門用語も当たり前に使用されているため読みにくく、認証の知識がない方々にとっては、理解すること自体困難な内容になってしまっています。SIGの公式見解にはこのような課題があるため、例え該当の記載場所が分かったとしてもそれを多くの方々が理解するにはハードルが高く、Bluetooth認証に関して正しい理解が進まない原因の一つだと考えています。
そこで今回は、Bluetooth SIGが出している公式見解を日本語、かつ、皆さまにも分かりやすい表現を交えて解説していきます。
SIGの『Help & Support』 Q.) Do I Need to Qualify?に着目
Bluetooth SIGには『Help & Support』というページがあります。
今回は、Q.)Do I Need to Qualify?に関するSIGの公式見解についてそれぞれ日本語で分かりやすく解説してみたいと思います。
第1パラグラフ
In order to brand (or re-brand) and sell a Bluetooth® product, your company must join the Bluetooth Special Interest Group (SIG) and complete the Qualification process. To learn more about joining the Bluetooth SIG, please visit: https://www.bluetooth.com/develop-with-bluetooth/join
原文は上記の通りです。それでは第1パラグラフの内容を解説していきます。
Bluetooth®製品を自社ブランド化(またはリブランド)して販売するには、SIGメンバーとして登録し、Bluetooth認証を取得する必要があります。
といった内容が書かれています。ここでのポイントは『ブランド』です。自社ブランドを販売の際はSIGメンバーとなり、Bluetooth認証を取得しなければなりません。シンプルですが大事なポイントです。
SIGメンバーの費用・年会費・ディレクトリ検索に関する解説についてはコチラ
第2パラグラフ
A member choosing not to use the Bluetooth trademarks must still be compliant with the Bluetooth Patent & Copyright License Agreement. Members are encouraged to review the conditions of the license agreements and consult their legal counsel with any questions regarding the applicable requirements. We are unable to provide any legal advice, including the ramifications resulting from a member’s failure to adhere to the procedures set out in the Bluetooth SIG’s operative, governing documents. For these reasons, we advise that each member company completes the defined processes to ensure they demonstrate and declare compliance to both license agreements.
原文は上記の通りです。それでは第2パラグラフの内容を解説していきます。
Bluetoothの商標を使用しないことを選択したSIGメンバーであったとしても、Bluetooth特許及び著作権使用許諾契約を遵守しなければなりません。SIGメンバーはライセンス契約の条件を確認し、適用される要件に関する質問があれば、弁護士に相談することをお勧めします。SIGメンバーがSIGの運営管理文書に定められた手順を守らなかったことによる影響を含め、SIGはどんな法的アドバイスも提供することができません。上記理由から、各SIGメンバーは両方のライセンス契約を遵守することを証明し、Bluetooth認証を取得することをお勧めします。
といった内容が書かれています。ここでのポイントはいくつかあり、まずは「Bluetooth商標を使用する、しないに関わらずルールを守る必要がある」ことです。ここでのルールとは、Bluetooth特許及び著作権使用許諾契約を指しています。
次のポイントは「SIGのスタンス」です。SIGは基本的に様々なルールを文書化してたくさんのドキュメントで規定しています。そのため、SIGメンバー企業各々がそのドキュメントに従ってルールを守ることが前提となっています。そのため、例えば法的なアドバイスをSIG側に求めてもそれに対してイチイチSIGから回答することができないため、その場合は弁護士に相談することを推奨しています。
そして、最後は結局、Bluetooth認証を取得してください。とまとめています。
第3パラグラフについては情報量が少ないため割愛します。
第4パラグラフ
If you do not qualify your product, you become subject to enforcement action. Read the updated policy here for an outline of the escalation schedule. If no corrective actions are taken, your Bluetooth SIG membership could be suspended or revoked.
原文は上記の通りです。それでは第4パラグラフの内容を解説していきます。
自社製品がBluetooth認証を取得できていない場合、強制措置の対象となります。エスカレーションスケジュールの概要については(都度)更新されるポリシーをお読み下さい。是正措置が取られない場合はBluetooth SIGのメンバー資格が、停止または取り消される可能性があります。
といった内容が書かれています。ここでのポイントは『エスカレーションスケジュール』です。色が異なる部分をクリックするとエスカレーションスケジュールを規定したドキュメントを確認することができますが、英語、かつ、専門的内容のため多くの方々には分かり辛いというのが現状です。
強制措置及びエスカレーションスケジュールに関してはこちらで詳しくご紹介
上記ページ内では民事的なリスク(税関で差し押さえや販売差し止め)を解説し、もしBluetooth認証を未取得、かつ、強制措置の対象となった場合でも、エスカレーションスケジュールの仕組みや期間を理解することことで最小限のリスクに留めることが可能になります。ご興味がある方は、是非ご覧ください。
最終パラグラフ
If you are a retailer or supplier selling or distributing another organization’s qualified Bluetooth product, and you are not adding any logos, branding, or representing the product as your own, you do not need to complete the qualification process for the product. However, the qualified product must be clearly labeled and represented as listed on the Bluetooth Product Listing Database.
原文は上記の通りです。それでは最終パラグラフの内容を解説していきます。
もし、輸入品のBluetooth機器を元のサプライヤーブランドで販売している様な小売業者であれば、その供給業者側の製品がすでにBluetooth認証を取得しているという事実がある場合は、新しい認証取得や関連費用がかかりません。
といった内容が書かれています。第4パラグラフまでは『Bluetooth認証が必要』という一貫したコミュニケーションをしてきましたが、最終パラグラフでは『ある条件の場合、Bluetooth認証が不要』といった内容が記載されています。元のサプライヤーブランドのまま販売をしているような小売業者、かつ、サプライヤー製品でBluetooth認証を取得できている場合は新しくBluetooth認証を取得する必要がないということを説明し、最後をまとめています。
まとめ
本記事では『Bluetooth SIGが明示しているBluetooth認証に関する公式見解』について日本語、かつ、分かりやすい表現を交え解説しました。
Bluetooth®製品を自社ブランド化(またはリブランド)し販売するにはSIGメンバーとして登録し、Bluetooth認証を取得必要があるということをご説明しました。
また、Bluetooth認証を取得できていない場合は強制措置の対象になり、是正措置が取られない場合はBluetooth SIGのメンバー資格が、停止または取り消される可能性があります。
そして、Bluetooth機器を元のサプライヤーブランドで販売している、かつ、その製品が既にBluetooth認証を取得している場合新しい認証取得や関連費用はかからないということをご説明しました。