【注目】未来を変える変革技術となるか?アンビエントIoTとは?
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
今回は先日Bluetooth SIGが話題として取り上げた新キーワードである『アンビエントIoT』について、注目されている理由や日本での事例なども交え、基礎的な内容を解説します。
アンビエントIoTとは?なぜ注目されているのか?
アンビエントIoTとは、周囲に存在する環境エネルギー源(例えば電波、光、運動、熱エネルギーなどが該当)からエネルギーを取り込んで電力源とすることができる、新たな可能性を秘めたコネクテッドデバイスのことを指します。表現の仕方を変えれば『エネルギーハーベストなIoTデバイス』といった印象です。
では、なぜ今『アンビエントIoT』は注目されているのでしょうか?
それはIoTの進歩と普及における重大な制約課題としてある『ビーコンなどのエッジIoTデバイスへの電力供給問題』を解決できる可能性があるからです。
エッジIoTデバイスは、一般に主電源やバッテリーを電力源としており、大規模エリアにおいては電力供給が課題のひとつと言われています。実際にバッテリーの交換や、バッテリー駆動機器の廃棄が課題になっています。もし周囲に存在する環境エネルギーから電力供給が可能になれば、メンテナンスの必要性が少ない、またはメンテナンスを全く必要としないデバイスの実現が可能となります。これが『アンビエントIoT』に注目が集まる要因となっているようです。
日本市場におけるアンビエントIoTの事例
Wiliot(ウィリオット) IoT ピクセル
『Wiliot IoT ピクセル』はイスラエルに拠点を構える半導体系スタートアップ企業Wiliot社のアンビエントIoT製品です。日本では約5年ほど前から徐々にWiliotの名前を聞くようになりました。Wiliot社は、2020年にはNTTドコモ・ベンチャーズ社が出資し、2021年には業務用ラベルプリンターなどを手がけるサトー社とパートナーシップ契約を結んでいます。
製品の特徴としては、周囲の電磁波からエネルギーを回収し、自ら発電することができるため、バッテリーレスで動作が可能なデバイスです。
現在のWiliot IoT ピクセルの状況について関係者にお話を伺ったところ、以下の回答を得ることができました。
- 日本では商用化に向けたPoCが進行中
- 海外では幾つか大規模なプロジェクトが進行している状況
- 特に北米、欧州でプロジェクトが進行している模様
全体的にまだまだ社会実装には遠いとはいえ、アンビエントIoTの登場はIoTデバイスの飛躍的向上を後押しし、IoTエコシステムを進化させる可能性を秘めています。将来的には、より低コストで小型、メンテナンスフリーのデバイスが開発され、IoTアプリケーションの新たな可能性の扉を開くことを期待しています。