なぜBluetoothデバイスには電波法とBluetooth認証が必要なのか?無視するとどうなるのか?
こんにちは、ムセンコネクトCMO、兼 無線化.comカスタマーサポート担当の清水です。
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今回はメーカーエンジニアがBluetoothデバイスを開発する際に避けては通れない電波法(通称、技適)とBluetooth認証に関するお話です。
Bluetoothデバイスに必要な電波法とBluetooth認証
メーカーエンジニアがBluetoothモジュールを組み込んでBluetoothデバイスを開発、販売する場合、メーカーは電波法とBluetooth認証(SIG認証とも呼ばれる)を取得する必要があります。
なんとなく必要なものということは理解できていても、なぜ必要なのか?、仮に無視した場合はどうなるのか?、みなさんはそこまで理解できているでしょうか?
実際、「無線認証をしない、無視した場合はどうなるの?罰則はあるの?」というお問い合わせは、メーカーエンジニアから最も聞かれる質問の一つです。
今回は電波法とBluetooth認証の違いに着目しながら、必要性について解説したいと思います。
電波法とBluetooth認証の違いは?
まずは電波法とBluetooth認証を正しく理解する上で、2つの違いについて着目したいと思います。
電波法は国の法律
電波法というのは日本国の法律です。現在は総務省の管轄であり、下記ページのように定められています。
また、無線技術を搭載した製品を海外へ輸出する際は、Bluetooth機器を輸出したい該当国の法律基準に適合することが必須となります。つまり、輸出当該国それぞれの電波法の認可(海外認証)を取得しなければなりません。
Bluetooth認証は民間団体が定めた独自ルール
ではBluetooth認証も国の法律か?というとそういうわけではなく、Bluetooth認証というのはBluetooth SIGという民間団体が定めている独自ルールです。つまり法律ではありません。この違いをしっかり認識するのが重要です。
運転免許に例える
この電波法とBluetooth認証の違いを運転免許に例えて補足します。
電波法は国が発行している普通自動車免許
例えて言うなら、電波法は国が発行している普通自動車免許のようなものです。
公道でクルマを運転するためには普通自動車免許が必要です。同じように公の場で無線機器を利用するためには、その無線機器が電波法を取得している必要があります。
Bluetooth認証はF1のライセンス
一方、Bluetooth認証はF1のライセンスに例えられます。
F1のマシンに乗る、F1のレースに参加するためには国際自動車連盟(FIA)が認定するF1のライセンスが必要ですが、それを所持していたからと言って、日本の公道を運転できるわけではありません。逆も然りで、普通自動車免許を持っていたからと言って、F1のレースに参加できるわけではありません。
つまり普通自動車免許とF1のライセンスが全くの別物であるように、電波法とBluetooth認証もそれぞれが独立した全くの別物であることがご理解いただけると思います。
運転免許は国や地域によって管轄が異なる
もう一つ、電波法が運転免許に似ている点、それは「運転免許は国や地域によって管轄が異なる」という点です。
日本の普通自動車免許は日本国内でしか有効ではありません。日本の免許を持っているからと言って世界中のどこでもクルマを運転して良いというわけではなく、アメリカで運転したければアメリカの、中国で運転したければ中国の運転免許が必要です。
同様に、無線機器も日本の電波法を取得していれば全世界どこでも、どんな出力の電波を発信して良いわけではなく、アメリカで使用したければアメリカの、中国で使用したければ中国の電波法を取得する必要があります。国によって法律が異なるのは当然のように、電波法も法律ですので、その国々に合わせた手続きが必要となります。対して、Bluetooth認証は法律ではありませんので、国ごとに取得が必要というものではなく、一度取得してしまえば全世界で有効です。
無線認証を無視するとどうなる?
では仮に電波法とBluetooth認証を無視してしまった場合はどうなるのでしょうか。
電波法は法律違反
電波法は法律ですので、無視した場合は単純に法律違反となります。稀に電波法違反で検挙されたという報道を目にすることがありますが、法的に処罰の対象となってしまいます。
Bluetooth SIGの権利の侵害(民事)
一方Bluetooth認証は法律ではありませんので法的な処罰の対象にはなりませんが、不当にBluetoothSIGの権利を侵害したということで、民事的なリスクを負うことになります。Bluetooth認証を取得せずにBluetooth技術を利用することは、権利者であるBluetoothSIGに許可なく無断でその技術を利用してしまったということで、販売差し止めや賠償責任のリスクがあるということです。
BluetoothSIGは本当に督促する
ここでみなさんに知っていただきたい重要な事実があります。それは「BluetoothSIGは認証取得していないメーカー、製品に対して、認証手続きを完了するよう本当に督促する」という事実です。
私が知るだけでも実際に督促を受けたメーカーを3社知っています。1社目はZEALをご採用いただいたメーカー様、2社目は無線化.comで扱っていたムラタのBLEモジュールをご採用いただいたメーカー様、そして3社目はEPL登録を代行したお客様の3社です。
3社それぞれBluetoothSIGから督促を受け、私も実際にそのメールや書面を拝見しましたし、その後のやり取りに対して相談を受けたりしましたので、本当に督促されることがあるのは間違いありません。
2社は比較的容易に解決したのですが、残り1社はペナルティを受ける事態にまで発展してしまいましたので、Bluetooth認証を無視することは大きな代償を覚悟をしなくてはなりません。
弊社でも実際にお客様からBluetooth SIGからの督促に関する相談がありました。以下でまとめておりますのでご興味あればご覧ください。
Bluetoothロゴを使用しなければBluetooth認証は不要?
「Bluetoothロゴは使用しなくても良いんですが、Bluetooth認証しないことは可能ですか?」
こういった質問もよく受けます。
Bluetooth SIGは
「Bluetoothロゴの使用有無に関わらず、Bluetooth技術を使用した時点でBluetooth認証が必要」
「Bluetooth認証を取得した上で、ロゴを使用するしないはメーカーの自由」
と案内しています。というわけで、ロゴを使用しなければBluetooth認証は不要ということにはなりませんのでご注意ください。
採用するBluetoothモジュールによって、メーカーのやるべきことが異なる
このように、Bluetoothデバイス開発には避けては通れない電波法とBluetooth認証の対応ですが、実際メーカーエンジニアがどのような手続きをすれば良いのかは、採用する(組み込む)Bluetoothモジュールによって異なります。
Bluetoothモジュールが電波法を取得済みかどうか、Bluetooth認証を取得済みかどうか、Product Typeは何か?によって認証方法、最終製品での手続き(Bluetooth認証費用及び期間)が変わってきます。
BluetoothモジュールのProduct Typeに関する解説、選び方のアドバイスについては「Bluetooth認証のQDIDとは?Bluetoothモジュール選びの際はQDIDとProduct Typeに要注意」を参考にしてください。
ムセンコネクトのBluetooth認証登録代行サービスをご活用ください
当社ではBluetooth認証プロセスにおいて、製品登録の代行やSIGメンバー登録、英語サポート等各種手続きに対応したBluetooth認証登録代行サービスを2020年8月4日から正式リリースしております。これに伴い日本全国のBluetooth機器を取り扱う企業に向けてBluetooth認証に関して無償で相談できる『オンラインコンサルティング』も提供しております。また、メールやビデオミーティングにて経験豊富なスタッフへ気軽に相談がご可能です。