手遅れになる前に!モジュール選びで総額が変わるBluetooth認証の落とし穴
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
Bluetooth認証の費用は、使用するBluetoothモジュールによって変わります。そのことを知らずに開発を進めてしまったため、想定外の費用が発生したり、最悪、認証の取得を諦めざるを得ないケースがあります。そこで本日は、Bluetooth認証の費用とBluetoothモジュールの関係性、Bluetoothモジュール選びの注意点について解説します。
Bluetooth認証の仕組み、費用構成について
そもそもBluetooth認証とは?
Bluetooth認証とは、
グローバルで製品の相互運用性を確保し、品質を向上させ、最高なユーザー体験を提供することを目的としたプロセス
のことです。
Bluetooth機器を販売するブランド元が取得する必要があります。
Bluetooth認証プロセスは『試験不要なプロセス』と『試験必要なプロセス』の大きく2つに大別されます。『試験不要なプロセス』は、認証自体が簡易で試験費用も不要です。一方、『試験必要なプロセス』は、指定認証機関(BQTF)での試験が必要です。
費用構成について
Bluetooth認証に関連する費用は、『Declaration ID』『試験費用』『年会費』から構成されます。試験費用については、必要な試験の内容に応じて変わってきます。試験が不要な場合は試験費用もかかりません。
Membership | Declaration ID(/件) | 試験費用 | 年会費 |
---|---|---|---|
アダプター | $9,600 USD | +α(内容次第) | $0 |
アソシエイト | $4,800 USD | +α(内容次第) | ≧ $9,000 USD |
試験費用の有無はモジュールのProduct Typeによって変わる
先ほど述べたBluetooth認証プロセスにおける試験の有無というのは、Bluetoothモジュールがもつ『Product Type』によって変わります。例えば『Component』の場合、BQTFでの試験が必要になるケースが増えます。
Product Typeの種類と定義をわかりやすく解説
Bluetooth認証におけるProduct Typeの種類とその定義は下記表の通りです。
Product Type | (分かりやすく)定義 |
---|---|
End Product | Bluetooth設計認証を完全にサポートしたもの |
Controller Subsystem | Bluetooth設計認証のうち、半分にあたるController部分をサポートしたもの |
Host Subsystem | Bluetooth設計認証のうち、半分にあたるHost部分をサポートしたもの |
Profile Subsystem | Bluetooth設計認証のうち、プロトコル/サービス/プロファイル部分をサポートしたもの |
Component | End ProductまたはSubsystemを作るパーツとして用意したもの |
次のパートでは、各Product TypeをもつBluetoothモジュールを選択した場合の注意点について解説します。
モジュール選びで総額が変わるBluetooth認証の注意点
End Productの場合
End ProductモジュールのQDIDを参照することで、試験なしでBluetooth認証の製品登録が可能です。Bluetooth認証の観点では、このパターンが一番安価、かつ、少ない工数で取得可能です。
Bluetooth認証済みBluetoothモジュールを組み込んでいたとしても、Bluetooth製品を販売するブランド元は最終製品での製品登録が必要です。
Controller Subsystemの場合
Contorller SubsystemおよびHost SubsystemのQDIDを組み合わせて参照することで、試験なしでBluetooth認証の製品登録が可能です。ただし注意点もあります。
自社で開発したソフトスタック(通信プログラム)の場合試験が必要
ソフトスタックを自社で開発していた場合、試験が必要となります。加えて、自作したスタックでの試験はPassする確率が低い点にも要注意です。あるお客様は、試験が不要だと思い込んでいましたが、使用したBluetoothモジュールの構成では試験が必要だということが後から分かり、想定外の試験費用が求められてトラブルに発展したケースもあります。
準備されたソフトスタックを利用すべし
以上のような理由から、特別な理由がない限りは、Bluetoothモジュールメーカーが用意している『Bluetoothライブラリ』や『スタック』を利用されることをお薦めしています。
Componentの場合
Bluetoothモジュール単体のコストは安価な傾向にあるものの、Bluetooth認証の観点では、別途試験が必要になるためコストが増えがちです。
BQTFでの試験
試験が必要になった場合はBQTFでのテスト及び技術情報の提出が必要になります。
開発元の協力が必要
(全て自社内で開発を完結している企業を除き)技術情報が必要になった場合、開発元の協力が不可欠です。開発元が海外メーカーの場合、スムーズな協力が得られず、Bluetooth認証の取得が滞るケースもあるため、事前の確認が必要です。