【Bluetoothモジュール選定】バージョンは新しければ良いとは限らない、その理由とは?
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
以前、Bluetoothモジュールを選定する際のポイントとして『古いバージョンは避け、できるだけ新しいバージョンを選ぶ』『Product Typeが重要』という2点をお伝えしました。
先日、あるお客様対応をした際、その2点を抑えていたのにも関わらず思わぬ落とし穴があり、製品化に苦労されてしまうお客様がいらっしゃいました。
そこで本日はその実例を紹介し、Bluetoothモジュール選定時にさらに気をつけておくべき点について解説します。
Bluetoothモジュール選びの5つのポイント
以前の記事ではBluetoothモジュール選びのポイントとして、大きく5点を挙げました。
- 日本電波法(技適)・Bluetooth認証の有無
- Product Typeの内容
- 規格(バージョン)の非推奨&廃止
- モジュールがサポートする機能(性能)・プロファイル・搭載ファームウェアの有無
- ドキュメント・アプリケーション・サポートの有無
今回お伝えしたいのは、『3. 規格(バージョン)の非推奨&廃止』に関する追加情報です。仮にバージョンが非推奨にもなっていない比較的新しいバージョンだったとしても、最悪の場合Bluetooth認証が取得できないケースがあるので注意が必要です。
Bluetoothモジュールは新しいだけでなく、QDIDの中身も重要
非推奨及び廃止スケジュールについて
まずは以前にもお伝えした『非推奨及び廃止スケジュール』についておさらいします。2021年10月時点では、以下のようなスケジュールになっており、それぞれのCore Specification(バージョンのこと)毎に期限が定められています。
例えば、v4.1は2023年2月に廃止を迎え、新たな製品登録ができなくなります。事実上廃盤のような扱いです。一方、v4.2以降については廃止まで十分な期間が設けられており、少なくとも数年は廃止の心配がありません。
しかしながら、本来であれば安心して利用できるv4.2のBluetoothモジュールであっても、前述のお客様が選択したモジュールには落とし穴がありました。そのBluetoothモジュールでは一部非推奨、または廃止となる仕様が使われていたのです。
QDIDの中身(仕様)に、一部分でも非推奨及び廃止の仕様が実装されている場合、そのQDID全体が非推奨及び廃止の対象となってしまいます。結果、まだまだ廃止期限までは十分な期間があると思っていたBluetoothバージョン(モジュール)であっても、実際は製品登録できる期間が短かったり、最悪の場合新規で製品登録ができない恐れがあります。
実例)v5.0のBluetoothモジュール
実例を一つご紹介します。
上記はとあるメーカーが採用検討していたv5.0のBluetoothモジュールです。v5.0であればCore Specificationそのものは決して古いモノではありませんが、このモジュールが組み合わせているQDIDに問題がありました。実際、Host SubsystemのQDIDについて調べてみると、次のようなアラートが表示されました。
新規の製品登録では参照することができない状態であることがわかります。また、Profile SubsystemのQDIDについても同様に調べてみると、次のようなアラートが表示されました。
先ほどと同じく、現在のQDIDは廃止された仕様を実装しているため、新規の製品登録では参照することができない状態でした。
これが『Bluetoothモジュールのバージョンは新しければ良いとは限らない』理由です。Bluetoothモジュール選定の際は、Bluetoothバージョンだけではなく、QDIDの中身(モジュール仕様)まで確認しなくてはなりません。
では、どのようにしてQDIDの中身を確認できるのでしょうか?次のパートでは、SIGメンバーなら誰でもカンタンにできるQDIDの確認方法について解説します。
QDIDの中身を確認する一番カンタンな方法
まず、Bluetooth SIGのメンバーページからログインし、SIGのデータベース上で該当のBluetoothモジュールを検索します。
次に、QDIDの先頭部分をクリックします。
すると、QDIDの詳細情報ページに遷移しますので、以下のようなアラートバナーが表示されていないか確認してください。
上記確認方法は、SIGメンバーとしてアカウントログイン後に確認できる画面になります。
SIGメンバーに未加入の場合、または、アカウントログイン前に閲覧した場合、アラートバナーは出現しないため注意が必要です。