【サルでもわかるBLE入門】(1) BLEの基礎
こんにちは。ムセンコネクト三浦です。
結構昔のことですが、「サルでもわかる~」というテレビ番組や書籍が多く取り上げられました。私はこの「サルでもわかる~」が大好きで良く見ていました。(残念ながら記憶力に乏しく、今でも記憶に残っているものは少ないですが・・・。)
私は文系大学出身のいわゆる文系エンジニアなので、難しい技術書、解説書があまり得意ではありません。そのため、最初にできるだけ簡単な解説書を読んで大まかに理解し、その上で必要なところだけ難しい解説書で深堀りするようにしています。
世の中にはBLE通信について解説したWebページが数多くありますが、初心者には難しい内容も多くハードルが高いのではないでしょうか?
今回から何回かのシリーズに分け「サルでもわかるBLE入門」と銘打ってお話していこうと思います。BLE初心者の方でも理解をしてもらえるように、図解なども用いてできるだけわかりやすく解説していきます。
第1回目の今回は、『BLEの基礎』についてお話します。
わかりやすく解説する為に、BLE初心者にはあまり必要ない例外的な内容は省略して説明するようにしています。
また、あえてアバウトに書いている部分もありますのでご承知おきください。
(厳密な技術的内容を知りたいような方は別の解説書を参考にしてください。)
Bluetoothとは?
BLEについて本格的に話を進める前に、Bluetooth(ブルートゥース)について説明しておきます。
Bluetoothは近距離 無線通信の規格のひとつです。
キーボードやマウス、ヘッドフォンなどでおなじみですね。
Bluetoothの特徴
・省電力
・近距離(~10m程度)
・そこそこ速い通信速度
・音楽系に強い
・パーソナルユースの機器に強い
そのBluetoothの規格の中で、省電力に特化するために新たな発想で出来た通信方式がBLEです。
BLEと区別して呼ぶために、古くからのBluetoothの通信方式をBluetooth Classic(ブルートゥース・クラシック)と呼びます。
一口にBluetoothと言ったときには、古くからの「Bluetooth Classic」と最近できた「BLE」の2種類があると思ってください。
BLEはアルファベットの通り「ビーエルイー」と読みます。
Bluetooth Low Energy(ブルートゥース・ロー・エナジー)を略した言い方です。
Bluetooth Classicは無線ヘッドフォンで揺るぎない地位を築いています。Bluetooth ClassicとBLEは、同じBluetoothという通信規格の中に含まれていますが、全く違う通信方式です。
この辺の事情はちょっと複雑なので、詳しくは別で触れることにします。以下のブログの中でも少しご紹介しておりますのでご興味あればご覧ください。
BLEの特徴は?
BLEは、Bluetooth Classicより更に省電力にした通信方式です。BLEビーコンのように使い方によってはコイン電池で何年も電池交換せずに利用することができます。
以下は消費電流のイメージです。(イメージしてもらう目的なので、かなり大雑把な数値です。)
Bluetooth Classic
接続待ち状態 ・・・ 5mA
接続して通信中 ・・・ 30mA
Bluetooth Low Energy
接続待ち状態 ・・・ 200uA
接続して通信中 ・・・ 1mA
30分の1、条件によってはそれ以上の省電力を実現できます。
もう一つ大きな特徴は、スマートデバイスとの親和性が高いことです。
主要なスマートデバイスで、オープンに利用できるようになっています。
ここまで対応する機器が広く(多く)、開発環境が整っている通信規格はBLEの他にはありません。
・Androidスマートフォンやタブレット
・iPhone、iPad
・Windows10 パソコンやタブレット
・Macパソコン
・Raspberry PiなどのLinuxボード
それぞれのスマートデバイスでアプリを作る必要はありますが、BLE機器とスマートデバイスの間で簡単にデータをやり取りすることができます。
実際に自社製BLEモジュールを使いBLE通信の接続テストを行ってみました
セントラルとペリフェラル
無線通信は大抵【親機】と【子機】に分かれます。
BLEでは【親機】のことをCentral(セントラル)、【子機】のことをPeripheral(ペリフェラル)と呼びます。
セントラル機器になることが多いのはスマートフォンやパソコン、ゲートウェイなど高機能デバイスが主です。
BLE機能がついたセンサ機器や、健康機器、スマートウォッチ、ビーコン発信機、忘れ物タグなどは、ペリフェラル機器になります。
1台のセントラル機器には複数台のペリフェラル機器が同時に接続できるようになっています。
ただし、同時に接続できる台数はセントラル機器の能力によるので、7台のペリフェラルと接続できる場合もあれば、1台しか接続できない場合もあります。
次回は通信仕様の部分、BLEの接続待ち(アドバタイズ)の仕組みと、BLE接続通信(GATT通信)に関してできるだけわかりやすく解説していきます。