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「Bluetooth 5.0は、何でもできる」は大きな勘違い

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

今回は勘違いをしやすい「Bluetooth5.0」をテーマにした動画です。Bluetooth v5.0のモジュールを販売している中で、「Bluetooth v5.0って新しいから機能も充実しているので、何でもできるんでしょ!?」と勘違いをされているお客様が多く見受けられます。

そこで今回は、大きな勘違いをしやすい『v5.0だとMeshが使える』『v5.0だと高速通信ができる』『v5.0ならLongRange』という点にフォーカスして解説しています。

目次

Bluetoothバージョンに対する誤解

よく誤解されやすい事例

弊社にお問合せを頂くお客様からのご質問などから、私自身感じているのが『Bluetoothバージョンに対する誤解』が多いことです。まず最初は下記図にて、一例を挙げてみたいと思います。

「Bluetooth 1.xからBluetoothがスタートし、Bluetooth Classicという規格が誕生しました。その後、2.x、3.xと進化を続けていく中で省電力化を実現するため、4.xでBluetooth® Low Energyが、IoT化を推進するためBlutoooth 5でBluetooth Meshが誕生しました。」

強ち間違った部分がない様にも捉えられますが、ここだけでも既に誤解が生じています。では、一体どこに誤解が生じているのでしょうか?実際に正しいBluetoothバージョンの歴史について少しだけ学んでみましょう。

正しいBluetoothバージョンの歴史

Bluetoothは現在『Bluetooth Classic』と『Blueooth Low Energy』の二つの規格に大別できます。Bluetoothが登場した1.xのバージョンではBluetooth Classicのみ存在していましたが、バージョンアップ後の4.x以降はBluetooth Low Energyが追加され、現在のバージョン5.xにおいては二つの規格が共存する状態です。

つまり、Bluetooth Classicは4.x以降も続いていますし、Bluetooth Low Energyは4.xの仕組みではなく、正確には追加されただけで現在の5.xでも続いている規格でもあります。

このようにBluetoothバージョンの歴史一つとっても誤解が生じている部分があります。そこで本日は、現在スマートスピーカーやワイヤレスイヤホン、キーボードやマウスなどにも搭載され、市場において主力になってきたBluetooth 5.0にフォーカスをし、よくある誤解をピックアップしながら皆さまと正しく学んでいきたいと思います。

よく勘違いされやすい「Bluetooth 5.0なら、○○できる」話

よくある勘違い① 5.0なら、Meshが使える

そもそもBluetooth Meshというものは4.0以降のバージョンに対応したBluetooth Low Energy(以下、BLEと略す)の機能、かつ、BLEの基本的な技術を使っています。そのため、4.x以降であればBluetooth Meshが利用可能です。

また、Meshのアーキテクチャスタックを下記図で示しますが、ご覧の通りMeshシステムは一番下のベースにBLEのスタックが配置されており、MeshシステムというものはBLEのスタックで支えられているといった証拠になります。

注)4.x以降の製品であればMeshが使えるわけではない

但し、4.x以降であればMeshが使えるのか?というとそういう訳ではありません。Meshを送受信するためにはそのベースとなる通信システム(ここでは専用のプロファイルと定義)が必要になるため、結局Mesh専用のプロファイルを実装したBluetooth製品でないとMeshは利用できません。プロファイルについては以下のページで詳しく解説しています。

よくある勘違い② 5.0なら、高速通信ができる

まず前提として「5.0は一つ前のバージョンである4.2に比べて、様々な性能が格段に上がった」ことは事実です。しかしながら、何かと5.0に関しては高性能になったイメージが極端についている感が否めません。すなわち「性能が上がった=何でもできる」ということではありません。

下記図にある『LE 1M』が4.2に対応するものになりますが、5.0の中でも『LE 2M』対応、正確にはLE 2M PHY(読み方:エルイー 2メガ ファイ)対応をすれば4.2に比べ2倍の高速化が実現できます。しかしながら、5.0ならLE 2M PHYに全て対応している訳ではなく、LE 2M PHYに対応していなければ5.0でも高速通信ができません。

LE 1MLE 2M
Symbol Rate1 Ms/s2 Ms/s
Data Rate1 Mbit/s2 Mbit/s

よくある勘違い③ 5.0なら、LongRangeで飛ばせる

ここも高速化の部分と似ていますが、5.0の中でも何を選択するかによって話が違います。仮に今回のLongRangeを達成するためにはLE Coded PHY(読み方:エルイー コーデット ファイ)対応をすることでその実現が可能です。

下記図にある『LE 1M』が4.2に対応、『LE Coded』が5.0に対応しており、仮にLE Coded PHY対応を選択することで4.2に比べて4倍の長距離通信を実現できます。しかしながら、5.0ならLE Codedに全て対応している訳ではなく、LE Codedに対応していなければ5.0でも長距離通信ができません。

LE 1MLE Coded
Range image1× 4

5.0のBluetooth® Low Energyモジュール『LINBLE-Z1』

ムセンコネクトでは「BLE通信を 誰でも、カンタンに」をコンセプトに開発したBluetoothモジュールを販売しております。ご興味ございましたら是非ご検討下さい。

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まとめ

本記事は5.0の勘違いされやすい事例にフォーカスをして学んできました。冒頭でもご説明した通り、5.0だからBLEやBluetooth Meshに対応しているというわけではなく、5.0はBluetooth ClassicとBLEの規格が共存している状態ですということをご説明しました。

また、搭載されるBluetoothよってそれぞれ機能が全く異なるため「バージョン確認を行った結果、5.0は高性能だから、何でもできる」ということはなく、実現したいことに対して最適な機能を確認し、選択する必要があります。

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