IoT化・無線化をイチから考える(2)素早くIoTを実現、スマホ連携
こんにちは。ムセンコネクトの三浦です。
前回はIoT化の構成として、スマートフォンのアプリが直接受信してデータを表示するパターンと、クラウドにデータを蓄積してその情報をブラウザで表示するパターンの2つ構成について説明しました。
①スマートフォンへ直接送信してデータを表示するパターン
②クラウドへ送信してブラウザで表示するパターン
①の場合、スマートフォンにアプリをインストールしてIoTデバイスと通信することになりますが、スマートフォンとの親和性が高い通信方式を利用することが大切です。
選択肢になる通信はBluetooth(Classic)、Bluetooth Low Energy、無線LANです。
スマートフォンは大きくiOS系スマートフォンとAndroid OS系スマートフォンの2種類に分けられますが、それぞれの特性が異なります。また、OSのバージョン、機種によってもできることが変わってくるため、全体的な利用のしやすさを以下にまとめました。
無線LAN
スマートフォンを利用するコンシューマが最も馴染みがある無線通信は無線LANだと思います。通信速度が速く、データ量が大きい通信を行う際には選択肢の一つになります。
しかし、無線LANの場合はIoTデバイスとスマートフォンを同じネットワークに参加する必要があます。IoTデバイスを会社や家のネットワークに参加させることにセキュリティ上の不安を感じ、抵抗感がある場合も多くあります。
また、IoTデバイス側にはアクセスポイントに接続するためのパスワードを入力するインターフェースを用意することを考えなければなりませんが、IoTデバイスはユーザーインターフェスの制約が多く、難しい場合も多いでしょう。
このような理由から、IoTデバイスとスマートフォンを無線LANで通信させる用途はあまり多くはありません。限定された特定の製品で利用されている状況です。
Bluetooth Classic
次はBluetooth Classicについてです。
Bluetoothといえば無線ヘッドフォンでの活用が一般的に知られていますが、音声だけではなく機器データの送受信にも利用されています。
例えば、キーボードやマウスなどのスマートフォンを操作する為の機器はHID(Human Interface Device Profile)というプロファイルを備えていてiOSもAndroid OSも簡単に利用できるようになっています。ところが、このHIDは入力デバイスに使われるプロファイルであり、IoTデバイスからセンサデータを送信するような場合には利用できません。
IoTデバイスからセンサデータを送受信する場合には、無線化.comのBluetoothモジュール『ZEAL-C02』のようなSPP(Serial Port Profile)というプロファイルを利用することになります。
Android OSではこのSPPを容易に利用することができますが、iOSではAppleの周辺機器認証であるMFi(Made For iPhone/iPad/iPod)ライセンスを取得する必要があります。MFiライセンスの取得はとても敷居が高い為、かなりしっかりとした開発体制の元で進める必要があります。
Bluetooth Low Energy(BLE)
最後にBluetooth Low Energy(BLE)について説明します。
BLEは、Bluetooth4.0でリリースされたBluetoothが更に省電力になった通信方式です。Bluetooth4.0以降では、Bluetooth ClassicとBluetooth Low EnergyがBluetooth規格に共存しているため、単にBluetoothと呼ぶ時にはどちらのことを呼んでいるのか確認が必要です。
BLEはiOS、Android OSの両方でオープンに利用することが出来ます。スマートフォンとの親和性が最も高い通信と言えます。
MacやWindows10などのパソコンもBLEに対応しています。スマートフォンと比べると活用事例はまだ少ないですが、今後活用が広がることが期待されています。
気をつけなければならないのは、OSの種類によってはBluetoothのフレームワークの完成度が低く、エラーが起きやすくなっています。また、同じOSバージョンであっても機種によって挙動が変わったりというトラブルが起きやすいことも要注意です。(スマートフォンの機種依存性やトラブルについては後日別の記事で書こうと思います。)
①の構成の場合は、特別な事情がなければBluetooth Low Energyを利用するのが良いでしょう。
次回は、②の構成の「 クラウドへ送信してブラウザで表示するパターン 」についてお話したいと思います。