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【iPhoneの「探す」機能】「Find My」の技術解説とデバイスに要求される「MFi認証」とは?

こんにちは。ムセンコネクト三浦です。

今日は、Find My(ファインド・マイ)という技術についてご紹介します。

目次

Find Myって何?

Find MyはApple社によって提供されている紛失防止機能です。
文字通り、自分が所有しているデバイスを『探す』ための機能です。

活用シーンとしては、以下のような場面が考えられます。
誰でも1度は似たような経験をして困ったことがあるのではないでしょうか?
そんな時にとても便利な機能です。

ランチを食べた後、会社に戻るために歩いていると「家の鍵が手元から離れています。」とスマホに通知が来た。
どうやら飲食店に家の鍵を忘れてしまったようだ。通知が来たことで、すぐに気付けて飲食店に戻ることができた。

友達と街中で一日中遊んだ後、気づいたらスマホがなかった。一体どこでスマホを失くしたのか見当もつかない。
友達のスマホを借りてiCloudにログインしたら、さっきまで居たカラオケ店にピンが立っている。店員さんにお願いして部屋に入れてもらって探してみたけど見つからない。もう一度iCloudにログインして「音を鳴らす」機能を試してみたら、ソファーの隙間から音が聞こえてきた。どうやらソファーの隙間に入り込んでいたようだ。

これらの忘れ物防止機能は、iPhone の「探す」アプリや、iCloudの「探す」システムで実現されています。

技術観点でのFind My機能

普段から毎日使うような機能ではありませんが、困った時にはとても便利です。お守り的に導入すると、安心感があります。

AppleのサイトをみてもFind Myの技術的な詳細はあまり語られていないようですが、使ってみると大きく2つの方式に分かれていることがわかります。

① スマートデバイスを「探す」機能(Find My iPhone)


 インターネット回線を利用して、iPhoneやiPadなどのスマートデバイスを探す時の機能です。

 iPhoneは通常GPSやWi-Fiの機能を利用して自機の位置を確認しています。iPhoneの「探す」機能をONにしておくと、インターネット回線を利用してAppleのiCloudに定期的に位置情報を送信します。iCloudではアカウント情報に紐づいて位置情報を保存しています。

 自分のiPhoneを無くしてしまった時は、別のインターネット環境からiCloudの自分のアカウントでログインして、自分のアカウントに紐づいているiPhoneの場所を探すことができます。iCloudから操作してiPhoneから音を鳴らすことも出来ます。

GoogleもAndroidスマートフォン向けに「Find My Device」という同様の機能を用意しています。

② BLE機能を利用して小物のデバイスを「探す」機能(Find My Device)


「AirTag」と言ってピンとくる人はわかりやすいかと思います。

元々はAppleが製造したAirTagしか対応していないシステムだったのですが、安価なサードパーティ製にも開放したことで一気に世の中に広がりました。

ここでは、Find Myに対応したタグや機器を「Find Myデバイス」と呼ぶことにします。キーホルダーのような小型のタグ形状やカード形状のものが多いようです。最近では自転車のフレームに埋め込まれたり、ワイヤレスイヤホンの機能の一つとして実現されているものもあります。

Find MyデバイスはBLE通信を利用して忘れ物を防止する仕組みです。紛失した際に、周囲にある第三者のiPhoneのネットワークを利用してFind Myデバイスの所在位置を知ることができます。

また、自分のiPhoneのBLE接続範囲にある時はFind Myデバイスから音を鳴らすことができて、新聞の下に隠れているFind Myデバイスを見つけることができるようになっています。

さらに、AirTagではUWB通信を利用して、音を鳴らさなくてもFind Myデバイスとの距離や方向がわかる技術が採用されています。

BLE通信で実現されるFind Myデバイス

Find MyデバイスにおいてBLE通信は重要な要素です。
BLE通信をうまく利用して実現されていると言えます。

自分のiPhoneと紐づけられたFind Myデバイスは、通常は持ち主がiPhoneと一緒に持ち歩きますので、Find MyデバイスとiPhoneはBLE接続を維持した状態になります。

Find Myデバイスを置き忘れてユーザーがその場を離れていくと、いずれBLE通信の通信範囲外となり、BLE接続が切れてしまいます。iPhone側では「Find Myデバイスが手元から離れたこと」を表示できます。iPhoneがBLE接続が切れた時の位置を覚えておいてくれるので、しばらく経ってから気づいたとしてもFind Myデバイスを置き忘れた場所がわかります。

Find Myデバイスが移動して、どこにあるか分からなくなってしまったような場合がFind My機能の醍醐味です。
自分のiPhoneとBLE切断した後、Find Myデバイスは定期的にアドバタイズ信号を発信します。

たまたまFind Myデバイスの近くにいる第三者のiPhoneがそのアドバタイズ信号を受信すると、受信した位置情報をiCloudに送信してくれます。これにより自分のiPhoneが遠く離れたところにいても、Find Myデバイスの位置がわかることになります。

日本では6割の人がiPhoneを利用していますので、知らず知らずのうちにものすごい数のiPhoneユーザーが自分の紛失物を探してくれているという壮大なシステムです。

また、Find Myの機能ではプライバシーにとても気を使っています。
Find Myデバイスの近くにいて探すのを協力してくれたiPhoneが誰のものか分からないようになっていますし、周囲にあるFind Myデバイスが誰のものかわからないようになっています。

巧妙に暗号化されているため、例えApple社であっても個人の位置情報を知ることは出来ないそうです。

【ちょっと寄り道】MFi認証とは?

ここまで紹介したようにとても便利なFind My機能ですが、Find Myデバイスを開発するためにはMFiプログラムに参加する必要があります。

MFiとは『Made For iPhone/iPad/iPod』の略です。
Apple製品と接続する電子アクセサリについて、一定の基準を設けて接続性を担保するのが目的の制度です。

MFiプログラムに参加するためには、Appleと契約をする必要があります。
Appleと契約を交わすことで、技術仕様の開示、セキュリティチップの提供、認証ツールの提供、プロダクトの認定を受けることができます。

MFiの認定を受けた機器はパッケージやケースにMFiのマークが記載されています。
Find Myデバイスには「Works with Apple Find My」のマークが記載されています。

プロダクトのMFi認証の取得

今回紹介したFind Myの機能を持ったデバイスもMFi認証が必要です。

iPhoneと接続する電子アクセサリを作成するためには、MFiプログラムに参加した上で、以下の手順でMFi認証を取得します。

  1. 製品計画
    MFiのライセンス条項や技術仕様に適合した電子アクセサリの製品計画をAppleに提出します。
  2. 開発
    電子アクセサリを設計、開発、テストします。製品種別によってはMFiのハードウェアコンポーネント(セキュリティIC)を調達する必要があります。
  3. 認証
    Apple社が提供する認定ツールを使用して、相互接続性を検証します。生産準備が整ったら試作サンプルとパッケージをAppleに提出してレビューしてもらいます。
  4. 量産製造
    Appleのレビューで承認を受けるとMFi認証を取得できます。その後、量産製造し、販売を開始します。

Find Myの今後

Bluetooth 6.0では、電波を使って距離を測定するチャネルサウンディングという機能が実装されました。このチャネルサウンディングを使ってさらにFind Myが便利になると予想されます。

今は、失くしたデバイスが部屋のどこにあるか、詳細な位置を確認することが出来ませんでした。

唯一例外的にAirTagだけはUWB通信を利用して、どの方角、どの距離のところに紛失したデバイスがあるかを確認することができます。ですが、AirTagはBLE通信に加えてUWB通信の機能を載せている分、どうしても価格が高いようです。

チャネルサウンディングはUWB通信を使わずともBLE通信だけで高精度な測距ができるので、デバイスの低価格化に期待がかかります。

参考動画

※Apple Find My、MFiはAppleの登録商標です。

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