【超入門】UWBとは?UWBの活用事例もカンタン解説
こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
かつて『夢の無線通信規格』として期待されたUWB。近年、Appleの『AirTag』に採用され、いよいよ普及の兆しが見えています。そこで本日はUWBの基礎に触れた上で、その活用事例について解説します。
UWBとは?その長所と短所とは?
UWBはUltra Wide Bandの略で、その名の通り、超広帯域無線通信規格を指します。
3.1~10.6 GHzの広い周波数帯を利用した無線通信規格ですが、各国それぞれの規制により、国によって利用できる周波数帯が異なります。例えば、日本ではローバンドとして3.4~4.8 GHzを、ハイバンドとして7.25~10.25 GHzを利用します。
元々、軍事利用を目的に研究されていた技術で、発表当時はかなり注目を集めた無線通信規格でしたが、その後普及には至らず、耳にする機会は少なくなりました。ですが近年、AppleのAirTagを始めとした位置測位システムにUWBが採用されたことで再注目を集め、いよいよ本格的に普及の兆しが見えています。
ちなみに、日本でもごく最近までUWBの屋外利用が禁じられていましたが、2019年に一部帯域が解禁され、それがUWB普及の後押しになったとも言われています。
UWBの大きな特長は、再注目のキッカケにもなった高精度の位置測位です。例えば、BLEビーコンのようなRSSIや方向検知(AoA/AoD)測定とは異なり、ToF(Time of Flight)法を利用して距離を推定し、さらに三点支持計算を用いることにより高い精度でデバイス位置を特定することが可能です。
- 長所
- Bluetoothで使用されているRSSIベースの位置測位技術よりも高精度の位置測位が可能
- 短所
- Bluetoothモジュールに比べ、UWBモジュールは広く採用されていないためコストが高い
- グローバルな標準化がなされていないため、地域によって規制が異なる
UWBの用途は?その活用事例
先述の通り、UWBの代表的な活用事例は『位置測位』であり、センチメートルオーダーの超高精度な業務用追跡アプリや個人用の追跡デバイスなどが挙げられますが、今回その中でも特に取り上げたいのが高級車の『デジタルキーソリューション』です。
デジタルキーソリューションはBluetoothとUWB技術を組み合わせた仕組みになっています。
スマホやスマートキーと車体間の近接判定では消費電力を抑えたBluetooth通信を使い、その後、デジタルキーに必要な測距装置間の正確な測距(±10cm程度の精度)はマルチパス干渉の可能性が低く、高精度なUWB通信に引き継がれます。このBluetoothとUWBを組み合わせたデジタルキーソリューションの仕組みは、近年社会問題となっているリレーアタックの有効な防御策として注目されています。